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少子高齢化が進んだために、いわゆる労働力人口が極端に減り、日本国内は労働力不足、労働者不足が深刻化し、大変なことになっています。

それでは移民を受け入れればよいじゃないか、と単純に考えたいところですが、さまざまな問題があって、そう簡単ではないのですね。私はこの問題に関して、各新聞の社説や解説記事をできるだけ読んで勉強しようとしているのですが、勉強すればするほど、頭が混乱してきます。

私が属する、いわゆる団塊世代は、日本の少子高齢化問題、人口減少問題、労働力不足問題を深刻化させている元凶のように扱われる傾向があるため、私は自分たちが一方的に悪者にされないようにするためにも、これらの問題には無関心ではいられません。

日本以外に人口が多くて困っている国があれば、そこの人たちを日本に住ませて、働かせてあげればよいじゃないか、と単純化して考えたいのが私の素直な気持ちですが、政府は「移民政策はとらない」とこれまで言明してきていますから、問題が複雑です。

そんな中で最近、政府が外国人労働者の受け入れ拡大に大きくかじを切りました。政府は外国人に新たな在留資格を設ける出入国管理法改正案を今国会に提出したのですから、大きな転換といえるでしょう。

これまで就労目的の滞在は、医師など高度な専門職種に限ってきて、途上国からの技能実習生や留学生アルバイトで人材不足を補ってきたのが実情でしたが、今回は、単純労働での滞在を認める方向に政策を転換するようです。

この法改正が実現すると2019年4月に新たに2つの在留資格ができます。「特定技能1号」は一定の日本語力と技能を条件に通算で5年間の在留ができます。さらに熟練した能力があれば「特定技能2号」と位置付け、長期の滞在と家族の帯同を認めます。定期的な審査を受ければ事実上の永住も認められます。

実施までには、まだまだ与野党間で激しいやりとりが行われると思いますが、日本が多民族国家への脱皮をはかる契機になると思われます。結果として、吉と出るか凶と出るかは不明ですが、労働力不足で国家が衰退するのを防ぐ効果は期待できると思います。日経新聞は、「欧州では1960年代以降にアジアや中東などから労働者を受け入れ、孤立した低所得の外国人がさまざまな社会問題を引き起こしました」と指摘していますから、新法の実施にあたっては、全国民が注意して見守る必要があるのは言うまでもありません。

私が子どものころは、学校で「日本は単民族国家である」と習いましたが、今後は小中学校の教師の教え方も変わらざるを得なくなるでしょう。

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加納宣康 昭和24年8月4日、岐阜県生まれ。千葉徳洲会病院長

(この原稿は加納医師が、本紙読者のためにボランティアで執筆しています)

11月20日20時00分 319
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