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6日から3日間は、日本内視鏡外科学会総会が福岡で開催されていますので、私も参加しています。

読者の皆さんは、医師達は学会へ行っていったい何をしているのだ、と不思議に思われるかもしれませんので、今回の私の例を紹介してみますので、参考になさってください。

学会には、最新の医療情報を学ぼうと考え、勉強のために参加するだけの人も大勢おられますが、日ごろの研究内容を発表する人も少なくありません。

また、学会の進行のためには、発表者のみならず、会の進行を担当する司会者または座長の仕事をする人が必要です。

後者の仕事はある程度学会で認められた人が務めます。少なくとも評議員になっていることが必要でしょう。

今回の私は「腸閉塞症に対する腹腔鏡下手術」というパネルディスカッションの中で、特別発言およびコメンテーターの仕事を依頼されています。私よりもかなり若いリーダーたちが司会をして発表が進むのですが、彼らから発表演題について私に意見を求められれば、私が意見の述べるのです。今回は、司会は大学教授が1人と一般病院の部長が1人の2人でした。学会ではかなり長老扱いを受けている特別会員の私が、各演題についてコメントをして、最後にパネルディスカッションのまとめ的な発言をするわけです。

各演題について、コメントをしつつ、「腸閉塞に対する腹腔鏡下手術」の歴史についても触れながら、発言をしていきました。1990年代の前半に、私が「腸閉塞に対して腹腔鏡下手術が有用」であることを主張し出した当初は、かなりアンチの意見も多くて苦労したことも説明しました。

腸閉塞になると腸管が拡張してしまうので、腹腔内のスペースが減ってしまい、腹腔内に二酸化炭素のガスを入れて胃腸をよけて術野をつくるのが難しくなるのです。従来の開腹手術ように、大きくお腹を切って、手で腸管を圧排する操作ができないので、手術が容易ではなくなるのです。

しかし、時代が進み、大勢の外科医たちが腹腔鏡下手術の経験を積むにつれ、腸閉塞例でも腹腔鏡下手術がそれほど困難でもなく、基本的な注意事項を守って行えば、危険なものではないことが分かってきました。

今回のパネルディスカッションに登場した人たちは、皆、経験豊富で技術も優れた人たちばかりで、私が「腸閉塞に対しても腹腔鏡下手術は有用である」と主張し出した頃の苦労話は知りませんので、昔の思い出話も挿入しつつ、コメンテーターおよび特別発言者の仕事をいたしました。

高齢になると、このような名誉な仕事も、徐々に若い人たちのものになっていくのですが、今回は学会の当番会長が私にこの仕事を与えてくださり、感謝しております。年齢を考えると、いつまでこのような仕事を与えてもらえるのか分かりませんが、依頼される限り、できるだけ期待にお応えしていこうと思っています。長時間、壇上でたくさんの発表を聴き、パネルディスカッションをリードしていくことが容易ではない年齢になって来ていることを実感しつつ、仕事があることに感謝し、困難に挑戦し続けて行こうと思っています。

7日はまた、日本内視鏡外科学会技術認定審査委員会のコンセンサスミーティング、消化器内視鏡外科推進連絡会などが入っています。

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加納宣康 昭和24年8月4日、岐阜県生まれ。千葉徳洲会病院長

(この原稿は加納医師が、本紙読者のためにボランティアで執筆しています)

12月10日20時00分 552
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