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スーパーゴロン太を前に軽込さん=南房総市川田

軽込さん一石三鳥≠フ手応え

東日本大震災復興の励みに

森林資源の活用のために、南房総市が利用促進を呼び掛けている施設園芸用薪(まき)暖房機。これまで市内の農家11人が20台ほど利用しているが、その多くは花き園芸で、化石燃料費節減を主眼とした導入だった。重油価格の変動で普及が広がらない中、トマト栽培に利用、土壌改良という活路が見いだされた。燃料費が安ければ普及が進まないという葛藤の中、農作物の品質向上という位置付けで、薪暖房機の真価が見直されている。

暖房機は岩手県釜石市の石村工業株式会社がつくっている製品で、商品名は「ゴロン太」。南房総市内の農家の要望を受けて開発されていて、7年ほど前から市が補助金を出して市内の農家への導入を図っている。

これまで20台が納入されたが、いずれも花き園芸で、暖房の燃料費節約が主目的だった。重油が高騰した際は薪暖房が見直されたが、安値安定となると管理の複雑さもあって、薪暖房機の普及が進まなくなった。

南房総市川田の農園「裕成(ゆうせい)園」=を営む軽込亮さん(57)は、カーネーションなどの花き栽培のため、当初からゴロン太を導入。さらに改良型の「スーパーゴロン太」も入れ、燃料費の節約を図ってきた。

糖度8〜9のトマト=同

10年ほど前から、自家消費用にハウスの一部をトマトに転換。試行錯誤を重ね、3年前から「桃太郎はるか」種を導入、100坪のビニールハウスで暖房機を入れて本格栽培を始めた。

暖房機から出る炭を地面に交ぜ土壌改良を図ると、これが効果てきめん。トマトの病害である「うどんこ病」も「灰色かび病」も発生が抑えられた。炭は吸湿する作用があるため、一定の湿度が保持されるためだという。

軽込さんは重油も併用している。薪暖房機は遠赤外線効果もあるが、燃料である薪の確保、定期的な補充などの手間がかかり、負担は薪暖房機の方が大きいと感じている。労力の面だけでは重油の方が楽だが、土壌改良という副産物≠フ存在は小さくないという。

pH(ペーハー)調整のために投入していた牡蠣殻(かきがら)も不要となり、一石三鳥の手応えも感じている。

こうして作出されたトマトは糖度8〜9という、トマトでは上限レベルの甘みを出すのに成功。化石燃料の使用を減らしたうえでの成果だけに、薪暖房機の効果は絶大だと振り返る。

「一定の農地や山があって、定年退職後に就農を考えている人は、ぜひハウスに薪暖房機を導入してほしい。山の手入れにもつながるし、土壌改良で優秀な作物ができる」と軽込さん。

トマトはキロ900円ほどで取引され、ブドウが実る前の有力な経営の柱となっている。軽込さんのトマトは、地元の道の駅や直売で売られている。

ゴロン太を開発した石村工業は、東日本大震災の津波で被災し、工場が全壊している。軽込さんは「こうやって、その製品を千葉で活用していることを現地に知らせ、復興の励みになれば」と、応援の気持ちも忘れない。

トマトの問い合わせは裕成園(0470―36―2830)へ。

【写真説明】スーパーゴロン太を前に軽込さん=南房総市川田

【写真説明】糖度8〜9のトマト=同

1月24日20時00分 2,218
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