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避難後、炊き出しの昼食を食べる住民たち=平舘コミュニティ集会所で

台風19号の接近に備え、最大で約6800人が避難した安房地域。高齢化率が高い南房総市千倉地区の平舘区では、市が開設した避難所まで行くことができない高齢者らに向け12、13日、自主的に避難所を設けた。炊き出しを行うなど、「小さいコミュニティーだからできること」として住民同士で支え合う姿があった。

同市では、11日午後3時から市内15か所に広域避難所を設置したが、9日時点で平舘区の堀江正敏区長(77)は「高齢者が多く、避難したくても距離的にできない区民が多いのでは」と判断。一時避難所として平舘コミュニティ集会所を開放することを決め、台風接近2日前の10日、緊急の回覧板を回した。

台風の進行が想定よりも早まり、予定より6時間早い12日午前9時に避難所を開設。自力で避難できない住民は役員が車で迎えに行くなどして、80〜90代を中心に33人が続々と集まった。

スタッフは、区の役員の他、民生委員、赤十字奉仕団ら約10人で対応。毛布や非常食、飲料水、簡易な医薬品などを用意し、昼食と夕食には、おにぎりや豚汁などの炊き出しを行った。災害や避難への緊張から疲れが出ないようにと、全員でラジオ体操や座ってできる体操も実施。区内の医師も協力し訪問した。

午後6時20分ごろには、震度3の地震が発生。11時過ぎからは停電が続いたが、「大きな動揺はなかった」。非常灯や懐中電灯をつけ、トイレに行くときはスタッフが付き添った。

前回の台風15号で、強風の音などにおびえながら過ごしたという一人暮らしの加藤美枝子さん(79)は「地震や停電もあったが、みんな顔見知りで、今回は怖い、寂しい思いをすることなく過ごすことができた」と至れり尽くせりの対応に感謝していた。堀江区長は「今回初めて避難所を開設したが、スタッフが献身的に対応してくれたおかげで全員無事に退去できた」と胸をなで下ろした。

一方で、避難時の責任問題など課題も残るという。しかし、「過剰に心配していたら、何もできない」と堀江区長。「今回の経験を踏まえ、自分たちの区は自分たちで守る≠ニいう思いで、今後も起こり得る災害に備えていきたい」と話している。

【写真説明】避難後、炊き出しの昼食を食べる住民たち=平舘コミュニティ集会所で

10月16日20時00分 945
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