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富浦駅には同行者が待つ

列車5本を乗り継ぎ

8`のハイクも加え

本紙11月3日付で紹介した「地域公共交通考えるツアー ローカルバス乗り継ぎに11人 南房総 連載『バス停小話』で生まれた公民館教室」に続く、公共交通旅がこのほど、「公共交通を考える―列車とハイクで房総横断―」と題して開かれた。30人が列車5本(代行バス含む)を乗り継ぎ、徒歩を加えて房総半島を一周した。(忍足利彦、時刻は24時間制)

乗り換えた外房線車内

とんとん拍子で 乗りテツ実現

旧国鉄の木原線。内房側の木更津駅と外房側の大原駅を結ぶ、房総半島横断構想の鉄道だ。大原側は上総中野駅まで延伸、木更津側は上総亀山駅間まで延びた。しかし、線路は接続されることなく、前者はいすみ鉄道となり、後者は久留里線となる。国鉄民営化後は、前者は第三セクター鉄道として残り、後者はJRの地方交通線として現役である。

幻の房総半島横断鉄道を利用して、房総半島を一周しようという旅は、昔からプランに上っていた。難点は未開通区間の上総亀山駅―上総中野駅間の距離である。地図上でざっと15`。この長い歩行区間がネックとなり、房総半島一周の鉄道+歩行旅は断念せざるを得なかった。

筆者は、地図を眺めるのが好きだ。半島中央部の地図を見ているうち、鉄道路線の最短部があることに気付く。亀山―中野ばかりに気をとられていてはいけない。上総中野駅から北へ延びる小湊鉄道を使うと、月崎駅―久留里駅間が約8`であることが分かる。

小湊鉄道も横断路線の一部である。いすみ鉄道+小湊鉄道+久留里線で、最短区間を歩けば、横断鉄道巡りの旅が完成する。

このプランを南房総市丸山公民館の野中祐介さんに話したところ、とんとん拍子で進み、同公民館主催の事業となった。

いよいよいすみ鉄道ホームへ

大原で6分間の 乗り換えで急ぐ

定員30人で募集したところ、あっという間に定員に達し、キャンセル待ちも出る人気ぶり。単なる列車ツアーでなく、単純に歩くだけでもない。列車+ハイキングが人気を呼んだのだろう。「幻の鉄道」を歩くというロマンも感じさせるのかもしれない。

参加者は内房線各駅から乗り、安房鴨川駅で外房線に乗り換える段取りだ。

筆者は富浦駅から08時38分発の下り電車に乗った。島式ホームにはすでに同行者が数人いて、声が掛かる。最後尾の車両に乗る。館山駅からも乗り込み、和田浦駅まで順次増えていく。

参加者がそろい、安房鴨川駅に到着。09時43分。ここで跨(こ)線橋を通って47分発の外房線千葉行きへ乗り換える。

勝浦駅を過ぎ、複線区間を終わると、間もなく大原駅。ここで下車するが、富浦駅から乗車証明書で乗っているので、大原駅で1340円を清算する。

30人のほとんどが、IC系交通カードではなく、清算なので、改札で少々込み合う。

10時31分着。いすみ鉄道は37分発なので、6分ほどしか時間がない。

焦ってホームを移るが、いすみ鉄道のローカル鉄道ぶりは想像以上で、全員が無事、乗り換えた。上総中野駅までは730円。それなりの時間と料金が掛かるローカル線の旅なのだ。

1両編成のディーゼル車に、われわれを除くと乗客は4人ほど。いずれも病院帰りのようで静かだった。車内は少しにぎやかに。

当然ながらワンマン運転で、運転士が車掌を兼ねる。それだけで気持ちはゆったりする。景色のいい場所ではスピードを緩め、運転士が車内放送する。「春の桜の時期の眺めがいい」「秋の収穫期は稲穂が見事」など、サービス精神旺盛である。

極めつけは、「正面の焼き鳥屋が、タレント渡辺正行さんの実家で、焼き鳥屋はお兄さんがしています」だった。スピードを緩めるから、その焼き鳥屋「みずほ」がよく見える。一度下車して、味わいたいものだ。

小湊鉄道の代行バス

代行バスで 月崎駅目指す

曲がりくねったいすみ鉄道は、やがて終点の上総中野駅に到着。11時39分。ここで小湊鉄道に乗り換えるのだが、小湊鉄道は台風15、19号の影響で、年内は一部区間が不通。会社側は代行バスを用意しており、この日は駅前広場におなじみの色の小湊鉄道バスの車両がいた。

バスの発車は12時40分。時間があるが、昼食は目指す月崎駅になる。

ゆっくりとバスを待ち、定刻どおりに発車。大型バスにわれら30人が乗っているので満席状態だ。バスは小湊鉄道沿線を走る。やがて、月崎駅に到着。13時04分。バスの運転手と車掌には事情を話したが、月崎で降りる客は珍しいのだろう。車内で420円の乗車券を清算し、ここで下車する。

予定では、ここから久留里駅までの8`を歩く。今回のツアーの最大のお楽しみである。8`ハイクの前に腹ごしらえ。列車は不通なので、駅のホームに出て食事をする人、駅前広場で食べる人とそれぞれだ。

腹がくちくなったところで、ハイクへ。準備運動をしてから、筆者の案内でスタート。比較的交通量の少ない県道を西へ歩く。事前に下見をしているから、迷うこともない。

目指すのは久留里駅発15時46分の列車。2時間半あるので、余裕で到着する見込みだ。

県道トンネル内を歩く

久留里駅到着し ワンマンカーに

交通量が少ないとはいえ、車道を歩くのは楽しいハイクではない。ビュンビュンと車が走る脇を歩くのである。山道が理想的だが、今回の幻の横断鉄道の旅は、最短距離を歩くのが基本である。

いつものガイドトークで周囲の景色を含めて案内し、途中で休憩も入れる。トンネルをいくつか歩き、徐々に久留里へ近づく。途中の農村風景を楽しみ、昔懐かしい火の見やぐらと半鐘も見る。古い文化に触れる旅でもある。

久留里線に乗車

久留里駅前で 記念撮影し乗車

やがて家々に自噴式井戸を備えた町に出る。ここが水の里、久留里である。

交差点を3つ曲がると、正面に趣のある久留里駅が出る。れっきとしたJRの駅舎である。月崎駅は国登録有形文化財だったが、久留里駅も負けてはいない。

駅でトイレを済ませて、駅前広場で記念撮影した。

木更津駅行き16時28分の列車に乗る。実質的にここで解散となり、それぞれの自宅までの切符を買う。

久留里線は首都圏では珍しい非電化で、ディーゼル車両が運行される。乗客がボタンを押してドアの開閉をする。内房線もやがて、このワンマンカーになるとうわさされているが、こうして実際に見ると、少し心配になる。

木更津駅着が16時28分。ここで内房線に乗り換えるが、発車まで30分ほどある。同行者と会話しながら、楽しい時間を過ごす。

暗くなった車窓の外を眺めながら、下り列車に揺れていく。富浦駅は18時01分着。木更津辺りで雨になり、富浦駅も雨だった。

スマホの歩行計は1万400歩。そこそこ歩いた鉄道+ハイク旅だった。乗車券の運賃合計は3840円。

【写真説明】富浦駅には同行者が待つ

【写真説明】乗り換えた外房線車内

【写真説明】いよいよいすみ鉄道ホームへ

【写真説明】小湊鉄道の代行バス

【写真説明】月崎駅に到着

【写真説明】県道トンネル内を歩く

【写真説明】久留里線に乗車

19年12月28日 1,264

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