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任期後の出口戦略へ動き出した黒澤さん(左)と白石治和町長=鋸南

任期後の出口戦略固める

鋸南町の地域おこし協力隊(有害鳥獣対策担当)の黒澤徹さん(52)が、任期満了となる今年11月以降の出口戦略を固めた。有害鳥獣対策で3年間、身を粉にして働いた。この経験を基に、「獣害スパイラル」からの脱却を目指して、着地型旅行商品に活路を求めた。地域限定旅行業の登録を受け、個人旅行需要を伸ばして、地域振興を図ろうという。

黒澤さんは平成29年11月1日に協力隊の委嘱を受けた。耕作放棄地の増加、農家の高齢化などで同町内の有害鳥獣被害は日を追って加速。被害を受けることで農家の耕作意欲も低下し、これによって生息地や個体数の増加につながり、いわゆる獣害スパイラルに陥っていた。

黒澤さんは協力隊の任期の3年間、地域の現状を目の当たりにした。こうしたスパイラルから抜け出す戦略として、狩猟エコツアーの各プログラムを編み出し、刈り払い(環境管理)、防護柵の設置、捕獲などの3本柱を実践。ワークショップなども頻繁に開催し、都市住民のニーズを集めた。

こうした3年間の実体験から、人口減、担い手不足を解消するための活路を「都市住民の第2のふるさと」とすることに求めた。新規移住者が来ることで、捕獲従事者も増え、農業被害も減らせることに着目した。

黒澤さんの以前の職業は旅行業。東京で発地型旅行を企画していたが、旅先の地域の利益になる旅行事業ができていたか、という点でずっと疑問が残っていた。そんな問題意識から退職を決意し、地方に移住して地方でお客に地域の魅力を発信し、地域振興、地域活性化につながる旅行事業に関わりたいというのが、鋸南町の地域おこし協力隊に応募したきっかけ。

自身の地方への思いと、地元の疲弊度が合致。任期後のライフスタイルを着地型旅行商品から広がる地域振興と決めた。

佐倉市にある合同会社AMACの鋸南営業所として、地域限定旅行業の登録を受けた。出口戦略の一部として、別の会社も立ち上げ、合同会社きょなん獣害対策支援センターの名称で、5月26日に設立を終えている。

地域活性化と地域おこし協力隊の制度を考えると、隊員の具体的な活動や任期後の方向性としても、地域の着地型旅行企画を事業とする地域限定旅行業の開業は典型的な手法ともいえ、黒澤さんとしては必然的な結果となった。

地域限定旅行業は都道府県知事への登録で、限定された地域での旅行商品を扱える。登録要件が低いため、参入のハードルが比較的低い。

黒澤さんは、こうした地域限定旅行業を起点に@ツーリズム事業を通じた都市住民との交流で獣害対策の担い手確保のきっかけづくりA行政と地域の中間支援組織――を目指して活動していく方針。

合同会社きょなん獣害対策支援センターは鋸南町中佐久間が所在地で、今後はここを拠点に活動していく。

【写真説明】任期後の出口戦略へ動き出した黒澤さん(左)と白石治和町長=鋸南

6月27日20時00分 853

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