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山口マオさんが宮沢賢治の絵本の作画担当 南房総

2021年09月17日 03時00分
南房総市の画家でイラストレーターの山口マオさん(62)が絵を担当した「宮沢賢治絵本シリーズ」(ミキハウス発行)の『シグナルとシグナレス』が完成した。同シリーズの36タイトル目に当たる作品で、自身の敬愛する宮沢賢治に対し、渾身(こんしん)の力を込め制作。「作家人生で最も満足する内容に仕上がった」と喜びを語る。

ミキハウスは、三起商行株式会社(本社・大阪府八尾市)が運営するベビー服、子ども服ブランドで、文化貢献事業として昭和62年から同シリーズを出版。著名な画家が絵を担い、同社担当者によると「賢治絵本の金字塔として、出版界において歴史的なシリーズになりつつある」という。

『シグナルとシグナレス』は、大正12年(1923)に、宮沢賢治(当時27歳)が岩手毎日新聞に11回に分けて連載した短編童話。腕木式信号機の男性キャラクターと女性キャラクターによる切ないラブストーリーで、数少ない生前発表作品として知られている。同社から4年ほど前に話があり、編集者と作品制作を進めてきた。

完成したのは、縦26センチ、横25センチ、全40ページフルカラーの大型絵本。東北本線や岩手軽便鉄道など当時の資料も調べながら、越前和紙にガッシュ(不透明水彩)で色を重ねた。「絵本にしては文が長いことから、読み手に世界観を伝えるよう多くの工夫を施した」という。見開き19点を含め全25点の作品を制作した。

「作品が誕生して1世紀を経て誕生した絵本。子どもだけでなく、むしろ大人こそ楽しめる内容だと思うので、ぜひ多くの人に読んでほしい」と山口さん。

市川市の芳沢ガーデンギャラリーで17日~10月31日、同シリーズの36タイトル全ての原画を展示する「宮沢賢治絵本の世界展」と海猫堂で先行発売。10月初旬に全国発売で、館山市の宮沢書店など地域内の書店でも並ぶ予定だという。

【写真説明】『シグナルとシグナレス』を手に山口さん=南房総

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