ニュース

安房医師会の原会長がワクチン接種と第5波の対応振り返る

2021年11月14日 03時00分

安房地域の新型コロナウイルスワクチンの接種率は、国や県の平均を大幅に上回り、11月7日現在で87・1%。8月には爆発的に感染者が増加する中、どのようにして第5波を乗り越えながら、接種率を高めたのか。一線で現場対応や調整に当たった安房医師会の原徹会長(70)に聞いた。

――接種率も高く、感染者も減少した現状をどう見ていますか

ひとまず、住民の皆さんも、医療従事者も、「本当によく頑張った」の一言です。第6波について、明確なことは分かっていませんが、国は2倍の感染力を持つ変異株の流行を想定しており、まだまだ楽観できない状況でしょう。

――他の地域に比べて接種率が高い理由は何かありますか

第一に住民の理解と行政の協力に尽きます。その上で、医師会の組織体制が挙げられると思います。

あまり知られていませんが、安房医師会は、亀田総合病院や館山病院、安房地域医療センターなど、地域の基幹病院が理事になっているところが、他との大きな違いです。大小幅広い医療機関が、普段から顔の見える関係にあり、今回のような有事の際には、臨機応変な対応を可能としました。

――ワクチン供給は当初からスムーズに進みましたか

安房は県内で人口も少ないため、当初少量しか配分されず、超低温冷凍庫の設置先、ワクチンを無駄にしない分配方法など課題は山積みでした。予定していたワクチンが届かず、64歳以下の接種が始まった7~8月にはワクチンが足りない問題で、クレームも多々ありました。

――その後、8月には安房の感染者数も月500人以上に急増しました

在宅療養者がピーク時には約200人。保健所と連携して毎日2回の安否確認、地区ごとに電話対応、往診できる体制をつくりました。

集団感染(クラスター)が起きれば、有症状者を診察して、毎日医師会から管理医師を派遣しました。職員は家に帰れず車中泊を強いられる人もいて、スタッフのメンタルケアも重要でした。

特に保健所の業務は限界を超えていたため、4市町から毎日1人以上はサポートに出てもらうようにお願いしました。

安房は人口に比べて医療が充実しているため、県内でも最後の砦という役割があります。今回も県北から多くの患者を受け入れました。中には25か所の病院で断られた患者もいたと聞いています。

そんな中でも、亀田総合病院が安房の住民のためにコロナ用ベッドをいつも確保してくれていました。

――どのように連携体制を構築したのですか

毎週、安房医師会執行部、理事の他、4市町の行政、保健所職員など多くの職種が参加して、会議を行って協議を重ねてきました。医師会の理事は、LINEグループをつくり、日々の状況やワクチンの供給体制会議の内容をリアルタイムで共有するなど、迅速な対応へとつなげました。

――接種率の上昇とともに感染者も減少に転じました

週単位で変わるワクチンの配送状況でしたが、集団接種と個別接種に分けて供給体制と年代別の接種率を見ながら調整を行った結果、スムーズに接種が進んだと思います。この点は、やはり医師会の強固なチーム力と安房4市町のワクチン接種班の尽力が大きかったと思います。

――今回の連携を経て今後の教訓とすべきことはありますか

平時の医療と、有事の医療とは質的にも量的にも大きく異なります。病床を確保すれば、一般の入院が制限されることもありえます。安房地域の医療は、先人の努力で恵まれた環境にありますが、今後も、ウイルスのまん延や災害が起きないとも限りません。有事の医療を考えるきっかけになればと思います。

この記事の画像一覧

Ads